上海問屋から発売された「ヘッドホン用 DIYハイレゾスピーカー2個セット」。上級者向けとされ、対応機種や方法は案内されていません。SNS では、商品コンセプトを疑う声さえ見受けられる始末…。

ここは、自称・上級者(笑)の自分の出番!(痛々しい…)ということで、早速購入してきました。

交換用ドライバユニット(DN-914732)

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販売元から案内されているのは、ユニットの極性と大きさのみ。メディアの紹介記事はどれも似たり寄ったりで、販売元 Web 以上の情報はありません。

既存ヘッドホンのドライバユニットと交換して使うことを想定しているようですが、適合するかどうかは実際にヘッドホンを分解してみなければわかりません。好き好んでヘッドホンを分解する人は少ないでしょうから、そういうところが”上級者向け”なのでしょう。

ちなみに、私が購入した個体には、一部に折り目のような跡(傷?)がありました。交換を申し出ようかとも考えましたが、秋葉原の店頭まで行くのが手間であることと、私の落ち度ではないことを証明することができないことから、断念しました。検品していないのか、あるいは商品の基準を満たしているのか、どちらかわかりませんが、そういうこともあるということだけは念頭に入れておいた方が良いかもしれません。

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aitendo 多機能 Blutooth ヘッドホン TM010S

今回、目を付けたのは、aitendo の TM010S というヘッドホンです。

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Bluetooth Ver.4.0 対応、メディアプレイヤー機能、ノイズキャンセリング搭載で、税別 999 円という恐ろしほどコストパフォーマスに優れた製品です。一体、原価はいくらなのでしょうか。これを作った人たちはまともに給料が支払われているのでしょうか。色々な疑問が沸いてきます。

低コスト・高機能の反面、性能はそれなりです。まず、ノイズキャンセリングは、効果が実感できません。どうやら、密閉することで外部音を遮断するパッシブノイズキャンセリングというもののようです。また、製造品質がイマイチのようで、自分が購入したものはボタンが固定されず、半分外れかかっておりました。さらに、Bluetooth 対応ですが、技適が取得されていないことも気になります。そして何よりも問題なのが、音質です。低音が過剰に主張し、全体的にこもって聞こえます。聴いているだけで、なんだか気疲れしてしまいます。

これを分解してみましたところ、ドライバの大きさが DN-914732 とほぼ同じでした。二度と陽の目を浴びることはないだろうと思っていた TM010S ですが、今回の改造対象に決定です。

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(左)TM010S の標準ドライバユニット
(中)DN-914732
(右)AKG K612 PRO のドライバユニット(参考)

改造

TM010S の分解に、工具のドライバーは必要ありません。

…嘘です。ドライバーでネジを外す必要はありませんが、マイナスドライバーの先端をイヤーパッドの根元の隙間に差しこみ、てこの原理で開く必要があります。何度も外していると、そのうち緩くなってきて手で外せるようになります。

ハウジングを外すと、ドライバユニットが確認できますので、やはりマイナスドライバーを使っててこの原理で外します。接着剤のようなものでくっついているので、少し手間取るかもしれません。ドライバユニットを外した後に、DN-914732 を取り付けてみるとぴったりはまって固定されます。ぴったり過ぎて、接着剤などを使用しなくても問題なさそうです。

あとは、配線をはんだ付けして完了です。

音質改善のために、もうひとつ改造を施しました。ドライバーユニットを固定している板にはグリルがあったのですが、音がこもる原因になっていたので除去しました。ハンドドリルで小さな穴を開けて、ニッパーで穴と穴を繋ぐと、簡単に大きな穴を開けることができます。柔らかい素材なので、やすりがけ含めて 30 分位で加工できました。

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音質について

今回は、イヤーパッドも変更しました。TM010S の標準イヤーパッドは、高音を吸収し低音を強調するようで、あまり好きではありませんでした。手持ちのものをいくつか検討し、最も好ましい物を選択しました。イヤーパッドでかなり音が変わるので油断なりません。

「aitendo  TM010S(上記改造品) 」「DN-914732」「上記イヤーパッド」の組み合わせの感想となります。なかなか良いです。TM010S のオリジナルの音とは雲泥の差があります。ハイレゾを謳うヘッドホンらしい音です。重心がやや高域寄りで、高音がキラキラしています。サ行の音がやや刺さりますが、個人的には許容範囲内です。原音忠実よりも、むしろ綺麗で楽しく聴く方向で味付けされた音です。

今回の組み合わせでお値段は合計 4,400 円でした。7,000 円出せば、後述の上海問屋のハイレゾヘッドホンに手が届いてしまうので、なんだか微妙であるように感じてしまいますが、Blootooth など TM010S の高機能が活かせると考えれば悪くない選択肢です。

まとめ?

ヘッドホンの音は、ドライバユニットのみによって決まるものではなく、ハウジングやイヤーパッドの影響が無視できません。メーカーのエンジニアは、様々な知見やシミュレーションを用いて、職人的に音を作っていきます。DN-914732 のコンセプトである、ドライバユニットを変更して音質向上!というのは少々安直すぎるようにも思います。DN-914732 を採用したヘッドホンが上海問屋から販売されていますが、おそらく専用にチューニングされており、ドライバユニットを付け替えただけではこのレベルには届かないと思います(ちなみに、私はこのヘッドホンの音を聴いたことがないので、実際はどうかわかりません)。

まあ、所詮は素人の趣味ですので、あまり細かいことは考えずに、手間暇も込みで楽しめれば良いのではないでしょうか。音質絶対主義という人より、工作を楽しめる人向きの商品であると思います。

おまけ

TM010S のサイドに、S という謎のロゴがあり格好悪かったので(どうせならば、b のロゴにしてくれれば良かったのになと思います)、beyerdynamic のステッカーを貼ってみました。

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